Kpopにハマったきっかけ  ~PRODUCE X 101~

 私は7年間セカオワのオタクをしていた。その頃は1ミリもkpopには興味がなかった。学生時代には少女時代が流行っており、同級生の女の子たちは皆kpopを聴いていた。そんな状況下でもkpopを聴こうという気にはならなかった。

 そんな私がkpop沼にハマったのはプエクを見てからである。そう、PRODUCE X 101である。コロナ禍でしかも病床に伏していた私は何もすることができなかった。横になっている分には楽なのだが、起きて活動することは辛かった。そんな中Abemaで見つけたのがPRODUCE X 101であった。ちょっと見てみようという軽い気持ちで見始めたのだが、次の展開が気になりほぼ1日中プエクを見るという状況になった。

 プエクは素朴な少年たち(一部成人も含む)がkpopアイドルとしてデビューするためにお互いに切磋琢磨しあいながら、成長していく壮大な青春オーディション番組である。昼夜を問わず練習に励む彼らの姿を見て、私はすぐに心を奪われてしまった。彼らの頑張る姿を見ると、私も頑張ろう、そう思えるのであった。

 中でも私の心を掴んだのはトニーであった。最初の事務所別評価の時に彼はXの評価(一番低い評価)を受けると思っていたものの、実際に受けたのは一番高いA評価であった。

 準備してきたパフォーマンスの後に審査員の要望で歌唱し、評価を受けるのが下の動画である。↓


[ENG sub] PRODUCE X 101 [2회] '울지 마, 이제 넌 A야' ㅣHONGYI 위자월, 토니 190510 EP.2

 自身の予想とは反対にA評価を受けたトニーは泣いてしまうが、私はその姿を見て、一瞬で彼の虜になってしまった。これまで積み重ねてきた努力が、彼の涙に表れているのではないかと思えるのであった。

 事務所別評価の後は番組のタイトル曲であるジマ(_지마)やグループバトル、ポジション評価、コンセプト評価、デビュー評価を経て最終的に11人のデビュー組が決まる。一番最初にできた推しはトニーであったが、番組が進むにつれ推しは増える一方であった。練習生は皆頑張っており朝方まで練習することも珍しくなく、そんな彼らの姿を見ていると、最終的には皆デビューすれば良いではないかという気持ちになってくる。しかし、実際にはそんなことは叶わず、順位発表式が行われる度に下位の練習生たちは脱落するのである。

 幸いにもトニーは最後のデビュー評価まで残ることができた。しかし、惜しくもデビューには至らなかった。番組終了後はファンミーティングやVライブなどを行ったが、未だアイドルとしてのデビューには至っていない。

 一方で、プエクでデビューしたのがX1である。私がプエクを見始めたのは、今年の3月頃であるため、既にその時はX1はデビューしていたのである。ネタバレになると思い、番組を見終わるまでデビューメンバーを検索せずにいた。番組が進むにつれ私の体調も少しずつ良くなり、彼らのデビューと共に就職に向けて頑張ろうと思っていた。(彼らと私の時間軸はずれていたのだが…)デビューメンバーが決まり番組を見終わると、X1の現在の状況が知りたくなり検索した。この時私は大変ショックを受けた。X1は既に解散していたのである。デビューから1年も経たずに解散。私はしばらく呆然としていた。

 解散を知った翌日、目覚てからもそのことが頭の中を巡っていた。プエクを見終わってしまった寂しさに加え、X1が解散しているという事実。そこから数日間は何とも言えない虚無感、寂しさがあった。

 番組を見終わった暁にはデビューメンバーの活動を追っていこうと思っていた。しかし、解散という事実を知ってから、しばらくX1の動画を見ることができなかった。既に解散しているグループの動画を見るのは何ともやるせない、辛い気持ちがあった。

  しかし一方で、当然のことながらデビューした彼らの姿を見たいという気持ちもあった。気持ちが落ち着いた頃、音楽番組でのFlashの舞台を見た。曲調が何とも切ない。解散を知ってから見たからなのかは分からないが、切なく聞こえてきた。その後は彼らのデビューステージである、コチョクドームで行われたプレミアショーコンを見た。とても輝いていた。額から落ちる汗が宝石に見えるほど輝いていた。しかし、イポイポで泣いてしまった。彼らが輝いて見えるほど、解散という事実が深く胸に突き刺さってきた。

 その後は少し心も落ち着き、X1が出ている動画という動画は全て見た。11人それぞれの個性はとても強いが、集まると一つのグループとして成り立ち調和がとれているとても素敵なグループである。デビューアルバムはハーフミリオンを達成し、公式ペンカフェの会員数はBTSSEVENTEENに次ぐ3位に位置しており、凄まじい人気であった。そんなグループがわずか5カ月で解散というのはあまりにも悔しく悲しい事実であった。

 X1の動画を一通り見終わってからは、プエクが恋しくなったため、もう一度最初から番組を見始めた。1回目では気づかなかった練習生たちの魅力を見つけることができ、更に推しは増えた。しかし、最終回まで見終わるとX1は解散したのだという事実がまた私の心を沈ませた。この気持ちにどう折り合いをつければ良いのか分からなかった。私は元Kpopオタクであった姉にこのことを話した。すると姉は、そういうことになっていたんだよと言った。その言葉に妙に納得した。もちろん解散したことはとてつもなく悲しいことである。しかし、ものごとはなるようになるのである。人生にタラレバはないし、いくらタラレバ話をした所で既に起こったことを変えることはできない。もし、投票操作が行われていなければ。X1の今後の活動を巡る会議で全ての事務所が活動継続に賛成していたら。そのようなことを考えたところで起こった事実を変えることはできない。

 X1のメンバーにとって、解散という経験が人生において必要なステップであったのかもしれない。何よりも心を痛めたのはメンバー達自身であると思う。悔しくて悲しくてやるせなくて色々な感情が起こったであろう。しかし、それらを経験することによって、より強くなり人間的にも成長しこれからの人生において糧になったのは間違いないと思う。そのような気持ちを味わったからこそ誰よりも素敵なアイドル、歌手、人間になれると思う。

 私はこう思うことによって気持ちに折り合いをつけた。X1解散について未だに受け入れられない人、折り合いをつけ彼らの今を応援している人、折り合いをつけたつもりではあるが思い出すと悲しくなる人、色々な人がいると思う。どれもその人が感じたことであるし、自分の感情を大切にすべきである。だから、私はどれも否定しないし、正解でもないと思う。私はただ彼らの今を応援することを選んだ。ドンピョを除いては、それぞれ新たなグループやソロとしてデビューしたり、元いたグループで活動したりしている。彼らは今でも走り続けそれぞれの道で頑張っている。私はただ、頑張っている彼らの今を応援したい。(もちろんドンピョも応援している。彼は一刻も早く世に出るベき存在である。)

 私がX1を知ったのが解散後であったから、気持ちに折り合いをつけるのが容易だったのだと思う方もいるかもしれない。それも一理あると思う。しかし、物事にはタイミングというものがある。私がX1に出会うタイミングはその時だったのだと思う。ただそれだけのことである。

 辛いことを経験したからこそ、彼らは誰よりも輝けるアイドルになれると私は信じている。